沖縄の食文化 夜光貝(ヤコウガイ)とヒィートゥー(イルカ)が名護で売られていたので食べてみた。
梅雨明け6月の中旬、晴れてとても暑い日でした。
食堂が隣接しているスーパーに行き、涼みながら店内を物色していると、
なんと
こんなものが売られていました。
■夜光貝(ヤコウガイ)が売られていた。
貝拾いが好きな、えんなさんとぼーさんは興味津々で釘付けです。
え&ぼ「なんだこれ!?」
地元の人は見向きもしていません。
貝がらだけでも販売しています。
え&ぼ「飼うの?、殻だけ売っているの?」
わからないので、店員さんに聞きました。
え&ぼ「これは食べるのですか?」
店員さん「はい。」
え&ぼ「どうやって調理するのですか?」
店員さん「刺身かバター炒めにして食べます。
刺身は子供やおじぃ、おばぁ、歯が弱いと硬くて食べれないですねぇ。」
え&ぼ「そんなに硬いんだぁ。どちらがおすすめですか?」
店員さん「僕はバター焼きです。ふふふ」
え&ぼ「やっぱり食べたことあるんですね!すごい!」
え&ぼ「ここで調理してもらえるのですか?」
店員さん「はいできますよ。しかし今担当の人がお昼に行ってまして。」
え&ぼ「大丈夫です。待っています。」
そして、店内を見渡すと、
なんと!
噂に聞いていた、ヒィートゥも売っていました。
■ヒィートゥ(イルカ)も売っていた
この6月くらいの時期に販売されるヒィートゥです。
ヒィートゥはまたのちほど、
担当の人もお昼から戻られました。
■ヤコウガイを調理してもらう
早速調理できるかヤコウガイを触りながら聞きましたら、
「あっ!触らない方がいいよ!
一旦口が閉まると、調理できなくなるからね。
そっと優しくね!」
ヒョイと優しく持ち上げて、ゆっくりと調理場に持っていきます。
興味津々で遠くから見届けていました。
さすが職人さんです。あれよあれよと、見事にさばいていきます。
使っている包丁もとても大きく、洗練された作業に見とれてしまいました。
お仕事中にも拘わらず、記念撮影もしていただきました。ありがとうございました。
あっという間にこんなにきれいにさばかれたヤコウガイです。
《写真》このままお刺身でいただけます。
わたくしぼーさんは、生きているからかわいそうという気持ちもありましたが、食用なので「命を頂く」ことを決意していました。
そして、ヤコウガイについても調べてみました。
■リュウテンサザエ科の夜光貝(ヤコウガイ)
サザエの仲間で、夜光貝は世界最大のサザエ類。
大きさは殻径20cm、重さ2.5kgにも達します。
夜光貝は、種子島よりも南の海でしかとれません。
食用のチョウセンサザエとは違って、
夜光貝は螺鈿細工(らでんさいく)に用いられる高級装飾材料になります。
琉球時代、中国との文化交流でも大活躍したのが、
夜光貝を使った伝統工芸品です。
今日では緻密な作業で時間が費やすことから、
簡易にできる堆錦(ついきん)という別の工法に変わってしまい、
伝統の技術もできる人が減ってきています。
現代の琉球漆器を代表する作家の一人で首里城復興に係わった、
沖縄県指定無形文化財保持者の、前田孝允(まえだこういん)さんも、
今年2020年1月14日に他界されています。
テレビで漆を塗っているところを拝見しました。
そんな高級装飾材料の夜光貝が、
普通のスーパーで販売されていたのですね。
ではヤコウガイを頂きてみましょう。
《参考文献》沖縄の海の貝・陸の貝
著者:久保弘文、黒住耐二 沖縄出版より
夜光貝(ヤコウガイ)を頂く
■ヤコウガイのお刺身
わたくしぼーさんの一口目「ごりっ!!!硬い。」
えんなさん「こりっ!おいしい!」
部位によって硬さに違いがありました。
味はサザエです。とても美味しくいただきました。
この夜光貝の大きいので、
店員のお兄さんおすすめのバター焼きも作ってみました。
■ヤコウガイのバター焼き
バターに塩コショウで炒めていただきます。
ぼさーん、えんなさん「美味しい!」
火を通すことで、身も柔らかくなり弾力がある歯ごたえで、
さらにおいしさが増しました。
硬い部分はバター焼きがおすすめです。
まだまだ身があるので、
オリーブオイルとニンニクでも炒めてみました。
食べ終わった貝殻は、漂白剤に漬けて洗浄します。
高級装飾材料なので、また磨いてみたいと思います。
つぎは、ヒィートゥーを紹介します。
■ヒートゥー(イルカ)漁の文化について
地元の人から聞いていたのが、このヒートゥー。
6月ごろにスーパーに並ぶ食材で、じつはこれイルカなのです。
名護博物館ではクジラ漁が盛んだったとは紹介されていましたが、
まさかイルカも漁の対象になっていたのには驚きました。
■名護でのイルカ漁の歴史
琉球新報の昔の記事にこんなことが書かれているのを見つけました。
3月から5月にかけて、名護湾で行われたイルカ漁。サバニに乗り込んだ漁夫たちが、湾内に入りこんだイルカの群れを網に追い込んで捕えたが、近年はもっぱら手投げもりで仕留めた。発祥は不明。今は行われていない
イルカ漁というもののほとんどはゴンドウクジラを捕っていたとかも資料で拝見しました。
どうやら戦後の食糧難の対策でイルカ漁も行っていたみたいです。
《参考》沖縄での捕鯨および鯨肉を食べていたことについて知りたい。
ファレンス共同データベースより
■ヒートゥーを調理する
パックにはソーキ肉で煮込むと書かれていましたので、
煮込んで調理してみました。
えんなさんの意向は、「イルカは食べない。」の一点張りでした。
わたくしぼーさんは、イルカにも、貝と同様もちろん、かわいそうという気持ちもありましたが、沖縄名護の伝統文化でもあるのと、食用なので「命を頂く」ことを決意しました。
落し蓋をして煮込んでいただきました。
一口頂くと、クジラの赤身肉に似て歯ごたえがありましたが、
匂いがありました。2度、3度煮込みなおしていただきました。
調理方法が一番の原因だとおもうのですが、
ぼーさん的には口に合わない感じでした。
しかし、沖縄の文化の貴重なひとつを体験することが出来たので、
イルカに感謝の気持ちを称してここに記録を残しておきます。